第26章 ナメすぎでしょ
「僕が一番大切なのは彼女さ、彼女以外にいない。分かっただろう?僕はイカれてんだよ。ただ一人を守る為に、この世の全てを壊せるくらいには」
殺気どころの話ではない。今更後悔したって遅い。もう、この五条悟という男からは逃げられない…男は震える手を握りしめる事すら難しくなったその身体を必死に後方へとずりずりと引きずった。
「僕の何よりも大切な人に手を出した事、後悔すると良いよ」
次の瞬間だった。
ドガガガガーーーーンッッ
と信じられないほど大きな破壊音が辺り一面に響き渡る。
その音を聞いた瞬間、五条はゆるりと口角を上げて細く微笑んだ。
「あと一つ、君達は勘違いをしているよ。僕の奥さんってすっごく可愛いんだよね。素直で純粋で頑張り屋でものすっごく可愛いわけ。彼女が僕の弱点?違うよ、彼女は僕の原動力さ。弱点なわけがない、それに僕の奥さんって…」
そう口角を持ち上げた五条は、碧くキラキラと輝く瞳を心底楽しそうに細めて笑うのだ。
「惚れ惚れするほど強いんだよね。僕の奥さん、ナメすぎでしょ」