第26章 ナメすぎでしょ
この人はそんな悟の事を何も知らない。いや、知ってほしいとすら思わない。
なんて可哀想で惨めな事だろうか。きっとこの人は…
「悟が羨ましいんですね」
「……何を言ってる…」
「悟が羨ましくて仕方ないんですね」
「……違う…」
「だけど、もし貴方が五条家に生まれ無下限と六眼を持って生まれたとしても、絶対に悟のようにはなれなかった。最強になどなれていなかった」
「違うと言ってるだろ…」
「彼は五条悟だから最強なんじゃない。彼が彼であるから最強なんです」
「…っ…うるさい」
悟が誰よりも努力し、そして厳しい環境の中生きてきたことなど誰よりも知っていた。だって、ずっとそばにいたから。
周りをものともしないその強さも、誰も近づける事ないその最強という名に相応しい全ても、私は悟が悟であるから得たものだとそう思っている。
それはきっと彼を知る人ならば誰しもが思っている事だろう。
最強になった今ですら、誰よりも忙しなく毎日を送っている彼の気持ちなど、この人に分かるわけがない。