第26章 ナメすぎでしょ
あぁ、ヤバイ。どうしよう…
もしも悟があの辺の辺り一体を怒り狂って破壊しまくっていたらどうしよう。まぁでもさすがに、もう学生時代の時のようになりふり構わず暴れるということはさすがにないだろうか…
まぁ時々…ほんとーに時々赫をぶっ放して山なんかを修復不可能なレベルで破壊してることもあるけど…でもさすがにここは海外だしそんな暴れ方はしないよね…?
そんな事を一人ぶつぶつと呟いている時だった。
ギィという音が聞こえてきて、部屋にある唯一の扉がゆっくりと開いていく。そちらへとちらりと視線を向ければ、そこには一人の若い男が立っていた。
多分、三十半ばくらいであろう黒髪に穏やかそうな表情がとても印象的だ。
「お目覚めですか」
いや、お目覚めですかって…眠らせたのはそっちでしょうと思いながらも軽く睨み付ければ、その男は椅子へと拘束されている私を見下ろしニッコリと笑みを作った。
何だかすごく嫌だ…この人の笑顔。鳥肌が立つというか…笑っているはずなのにどこか違和感を感じるというか…とにかく酷く背筋に悪寒が走る。