第25章 初めての夜
それから私達はとにかくハネムーンを満喫した。
海に入って、プールに入って、エステなんてしてみたり、美味しいものをたくさん食べたり、優雅に青空の下お昼寝をしたり。それはそれは最高の気分だった。
きっと一生こんな休暇をもらえる事なんてないし、何より多忙な悟とこんなにも長時間一緒にいられることなんてそうそうないと思うと、一分一秒を噛み締めて過ごさねばとそう思った。
現地に着いて数日間はせわしなく遊んでいたから、今日はお買い物デーだ。みんなのお土産を買ったり、自分達のお土産も買いたい。
手を繋ぎショッピング街をうろうろし始めて数分したころ、悟のスマホがブーブーっと鈍い音を鳴らす。
「あー、またかかってきた。新婚旅行中くらい気使えないもんかね?」
そう言ってポケットからスマホを取り出した悟は、画面を見て大きな舌打ちを落とした。
まぁその気持ちも分かる。せっかくのお休みだというのに仕事の電話がかかってくるだなんて、それはそれは嫌な気分だ。しかも一回くらいならまだしも、なんだかんだでこの旅行中一日に数回はかかってきている。
「伊地知君?」
「いーや、今回は学長だよ」