第25章 初めての夜
伊地知君のおかげで一週間の新婚旅行に行けることになった。
悟は10日間と言って聞かなかったけど、それでも一週間休みをもらえただけで奇跡に近いのだ。これ以上の我儘は言えない。
新婚旅行の行き先からプランは全部悟が考えたいと言ってくれて、忙しいんだから無理しないでと一緒に考えようと言えば「大丈夫!僕に任せて!完璧なプランを考えるから!」と彼はやる気満々で、普段面倒くさがりな悟とは思えないほどに張り切っていた。
「うわぁ、凄すぎて…言葉にならない」
目の前の景色を見つめて大きく目を見開いた。
言葉にできないほどの感動を味わうなど、生きているうちにそう何度もある事じゃない。むしろ…一度あるだけでそれは奇跡みたいなもので、私は目の前の光景にただただ心を奪われた。
「うん、そうだね。さすがの僕も凄いなと思った」
キラキラと輝き透き通る海の中、海上にぽつんと建っている白く綺麗な水上コテージ。しかも広い、思っていたよりもずっと開く大きなコテージだ。
辺りには他に何もなく、数百メール先に同じ建物がポツンと建っているだけで、この綺麗な景色を独占できる素晴らしいプライベート空間だ。