第25章 初めての夜
「そんなことないよ、硝子や歌姫先輩もそんな感じじゃない?」
「あぁ、他にもいたわ」
ケラケラと笑っている悟は、他人にどう思われようと構わない我が道を行くタイプで、自分の顔がどれほどカッコイイのか完璧に自覚して時々使ってくるいるあたりはタチが悪いが、それでも実は誰よりも自分の顔に対して本当はどうでも良いと思っているのは悟自身なんだとそう思った。
その証拠に、どんなに周りの人達が色めき立つようにしてキャーキャーしていても、悟はちっとも興味を示さないし、それどころかいつも鬱陶しそうにしていた。
よくもまぁあんな間近でキャーキャー言われているのにスルー出来るなと隣にいて思う。慣れ過ぎているというのもあるだろうが。
サングラスの時はイケメンすぎて目立っているし、目隠しの時は白髪長身の怪しい人だし、本当何をしていても目立つな、彼は。
飛行機に乗り込めば、当然のようにファーストクラスで悟はその長い脚を放り出して座っている。
「僕エコノミーだと脚伸ばせなくてキツいんだよね」
うん。でしょうね。脚めっちゃ長いもんね。