第25章 初めての夜
「いっやー、マジでヤバかったね」
「うん、本当ギリギリセーフだった」
「流石の僕でも空港まではトべるようにルート引いてないし。今後のためにやっといた方が良いかなぁ」
荷物を預け搭乗ゲートをくぐり飛行機へと繋がる道を歩く。
何とかギリギリ飛行機までは間に合った、もう本当にヤバいかと思ったけど…悟なんか「おい飛行機乗れなかったらどうなるか分かるよな」などと運転手さんを脅した時はどうしようかと思った。あっちからしたらそんな無茶な!!って感じだっただろうし、間違いなく寝坊した私達が悪い。
でもとりあえずはこうして無事に飛行機に間に合うことができて、ホッと息を吐き出す。
大きな荷物は預けて隣には私の手を握る悟。シンプルでラフな恰好にも関わらず、それはそれは目立っていてこんな場所ですら周りから注目の的だ。
多分、芸能人やらモデルだと思われているに違いない。その証拠に物凄くたくさんの人からチラチラとこちらを伺う視線が突き刺さる。
彼を見上げる私に気が付いたのか、悟は「ん?どうしたの?」とサングラス越しの目尻を下げると優し気に首を傾けた。
「悟はやっぱどこにいても目立つんだなぁと思って」
「まぁ僕ってほら、G LGだからさ」
「うんうん、そうね」
「うわー、僕のこのイケメンに対してそんなドライな態度取るのヒナちゃんだけよ?」