第25章 初めての夜
私の首元へとちゅっちゅっと何度もキスを落として来るものだから、それがくすぐったくて思わず小さく笑ってしまう。
「ちょっ、悟くすぐったいー!ふふっくすぐったいってばぁ」
「お願い、僕の可愛い奥さん。たっぷり甘やかしてあげるから」
「もう昨日散々甘やかされましたぁ、ふふっ、本当にくすぐったいー」
首筋に鎖骨、そして胸元へと彼の唇が落ちてきたところで「悟様」という声が襖の反対側から突然聞こえて来る。
だけど悟はその声に応えることは無く、私に甘い言葉を囁きながらキスの雨を降らしていて
「…さとるっ、呼んでるよ」
「良いんだよ、無視無視」
「…でもっ」
悟は動きを止めることなく何度も私へとキスを続けた。
するともう一度「悟様」と言う声がして、さすがに襖を挟んで人がいるのにイチャイチャしているだなんて落ち着くはずもなく「ほら、呼んでるってば!」と悟の胸元を押せば彼は襖めがけ「チッ」と舌打ちを落とすと「何」と私へと向ける声とはほど遠い不機嫌そうな低い声を出した。