第25章 初めての夜
純和風な部屋の真ん中には布団が一組だけ敷かれている。
天井から床にかけて、まるでカーテンのように美しいレースが私達を包むようにしてぶら下がっていて、いつもないこれらは間違いなく初夜が盛り上がるようにと使用人の方達がつけたものだ。
少しだけ冷たいシーツに包まれ冷静さを取り戻したものの、真上に覆いかぶさってきた悟を見た瞬間緊張が再熱していく。
「さ、とる…」
「ん?」
首を傾げ、私を見下ろす悟はこれでもかというほど優しい声色を出す。
「どうしよう私…すごく緊張してるみたい」
小さく呟く私を、優しく見下ろしていたその顔は一瞬にして少しばかり驚いた顔付きになると、しばらくしてその表情をふっと柔らかに緩めた。
「ヤバイな、可愛いすぎる」
何処か余裕なさ気に放たれたその声は、ゆるりと口角を上げると、そのまままるで引き寄せられるようにして私へと寄り添い唇と唇が重なる。
こういった行為は初めてではないにしても、結婚後初めてである事に変わりはなく。これが私達にとっての特別な初めての夜である事も違いない。