第25章 初めての夜
「…っん」
鼻を抜けるような甘い声が室内に響き渡り、そしてそれすらも優しく掬い上げるようにして悟は唇を重ねていく。
優しく触れるだけのキスから、甘くとろけてしまうのではないかと言うほど濃厚なモノに変わった頃には、私の頭はすでに彼の事でいっぱいだった。
私に覆いかぶさるようにしてキスを降らしていた悟は、私の両腕に指を絡め甘く拘束してくる。
指から伝わる熱、私の上に微かに感じる彼の重み、2人が混じり合うようにして唇が離れた瞬間に感じる息づかいすら、今の私達を甘く優しく包んでいく。
「ヒナ、今日の君は一段と可愛くて綺麗だったよ」
まるで物語のお姫様にでも言うようなセリフが私の耳元に落ちてきて「悟もすごく素敵でかっこよかった」と息を切らせながらそう答えれば、嬉しそうに笑みを見せる。
そんな悟の笑顔に胸がぎゅっとなって、彼の首元へと腕を絡ませ必死になってキスを返せばサテン生地のワンピースの裾から熱くなった悟の手がスルリと入ってきたのを感じた。