第24章 結び
「夏油のやつ、お前達2人が入場して来た瞬間泣いてたぞ」
硝子がどこかおかしそうにクスクスと笑いながらそんな事を言うものだから、私と悟は大きく目を見開く。それに対し傑は「硝子!」と焦ったように冷や汗を垂らしていて、どうやらこれは嘘ではないらしい。
「え、傑…マジ?」
「…仕方ないだろう、悟が今までどれほどヒナを想って来たか知っているんだから。感動するなって方が無理じゃないか」
そう言った傑の瞳は少しばかりうるうるとしていて、何やら今までの事を思い出しているようだった。
そんな傑の顔を見て、思わず自分も鼻先をツンッとした感覚が襲ってきて泣きたくなる。
「ヤバイ、僕も何か感動しちゃった…お前そんなに僕のこと応援してくれてたんだな」
「当たり前だろう、悟がどれだけヒナを大事にしてたか…ヒナを好きだったか、ずっと隣で見ていたんだから。君達の幸せそうな顔を見て本当に良かったなって今日は安心したんだ。君達ならきっとこの先何が起きても、2人力を合わせて幸せに突き進んで行くんだろうなって…そう感じたよ」
そんな傑の言葉に、私の瞳からは涙が溢れた。うるうるとした傑の瞳と、その隣にいた硝子でさえも少しばかり目に涙を溜めている。