第24章 結び
普通の結婚式などではないことは重々承知だ。だって友人と呼べる人は何百と人が集まっているにも関わらず、傑と硝子しか来ていない。
元々狭い世界である呪術界の中で生きてきた私も悟も、自慢できるほど友人がいるわけではないが…それでも後輩の七海君や伊地知君、恩師である夜蛾学長など普段から仲が良く式に来て欲しかった人達は沢山いる。
それでもやはり狭い世界だからこそ、人手不足であるこの業界の現場に出ている中心的人物が何人も私達の結婚式に来てもらう事など出来ないのだ。
多忙を極めている傑と硝子が無理をしてでも出席してくれただけで奇跡のようなもので、それだけで飛び跳ねるほどに嬉しいのはもちろん事実だった。
だけれど、少しでも私達2人を取り巻く多くの大好きな人達に、今日という特別な時間を共に過ごして欲しかったのも事実で、やはり私達の生きる世界は特殊でいて厳しい世界なのだとこんなところでも知る事になった。
「疲れてない?大丈夫?」
「大丈夫だよ、こんなの小さい時から私も悟も慣れっこでしょ?」
何人ものお偉いさん方が私達の元へとお祝いの言葉を運んでくる。その合間に心配気に眉を垂れ下げ私を見下ろす悟を、安心させるようにして小さく微笑んだ。