第24章 結び
大きなドアがギィーという音を立てゆっくりと開いていく。
隣には、私を愛おし気に見下ろしてくる悟の姿。
いつも付けている目隠しやサングラスはその目元にはなく、碧く綺麗な瞳が私を目一杯に写し込んだ。
羽織袴には五条家の家紋が質の良い糸で施されている。
キラキラと輝く白髪の髪と、透き通る海を連想させる美しい碧。スラリとした長身に身に纏った羽織袴がこれでもかというほどに、彼の見目の良さを際立たせた。
かっこいい…そんな言葉じゃ伝わらないほどに、その姿はとても素敵だ。
サングラスをしていない事もあり甘く私を見下ろしてくるその瞳がいつもよりも良く見えて、悟があまりにこちらを優しく見下ろしてくるものだから、思わず頬が緩んでいく。
だけど緊張のせいか、少しばかり口元に力を入れていれば、悟の方から小さく「ふふっ」と笑う声が聞こえた。
「ヒナ、もしかして少し緊張してる?」
「うん、少しだけしてるかも」
「大丈夫だよ、だって隣には最強の僕がいるんだから」
「そうだね、隣に悟がいてくれるならきっとこれから先、何だって大丈夫な気がする」
私の言葉に悟は穏やかな笑みを見せると、大きく温かな手を差し出す。
「行こうか、ヒナ」
私はそれを握りしめ、そして笑顔で呟くのだ。
「うん!行こう、悟」