第24章 結び
彼女の寝顔にキスを落として部屋を出て行く時、一体どんな気持ちだったか。腐ったみかん共には分かるわけねーか。
この前悠二達に、面白くも何ともない結婚式などと言ったが、だからといって僕がこの日を楽しみにしていないわけがなかった。
ずっと待ち望んだことだ。ずっと夢見て来たことだ。
ヒナと結婚し、夫婦になり、そして彼女は僕の妻になる。
正直なところ婚姻などというそれ自体は本当はどうだって良い。法律でヒナを縛ったからと言ってどうなる訳でもない。
だけれど。彼女と誓い合うことの出来るその事実が僕にとっては何よりも大切で重要で、そしてヒナが僕を選んでくれたという事を心から感じられるトクベツな日だ。
そう思えば、くだらない祝辞も儀式も伝統でさえも、何だって我慢できると思った。
他人からの指図も、面倒ごとも、上のジジイどもの説教でさえも、今日ばかりは怒らずに聞いてやろう。
そう思うほどに、今日は僕にとって特別な日で、とても大切な日だ。