第23章 最強の看病
とぼとぼと教室を出て行く伊地知君に申し訳ない気持ちでいっぱいだが、こうなってしまった悟を止められる者など誰もいない。
おそらく、私にも無理だろう…
「いや〜楽しみだなぁ!」なんてニッコニコしながら何処から取り出してきたのか海外旅行特集なる雑誌を眺めている悟は、どうやらもう行く気満々らしかった。
「悟君…君は本当に思い付いたら即行動タイプだね…」
「えー!今の悟君ってすっごく良いね!トキメいた!もう一回言って」
「…人の話し聞いてた?」
「もっちろん聞いてたよ!僕がヒナの言ってる事聞き逃すわけないじゃない」
「それは…ありがとう」
っじゃなくてさ!!と思いつつも…いつだって私はこの悟のペースに巻き込まれてしまうのだ。だけどそれも悪くないと思っている時点で、私はもう彼にどうしようもないほど惚れていて。
いやぁ…本当に絆されちゃってるなぁ。なんて思いながらも、私は彼の楽しそうな顔を見るのが大好きで、そしてそれが一番の楽しみでもあるから厄介だ。