第23章 最強の看病
「というわけで、僕達10日間の休暇を取るから!!伊地知よろしく頼んだよ〜」
生徒達のいない教室、そして教卓には頬杖をつきニヤリと笑みを作った悟がこちらを見下ろしている。
そしてその前には、椅子に座った私と伊地知君。10分ほど前ここに悟へ来るよう言われた私達は、教室に入ってくるやいなやそう言った悟を唖然と見上げた。
「ほ、本気ですか…?」
「これが冗談に見える?」
「いえ、見えません…ですが特級の五条さんと一級の椿さんが同時に休むとなるとそんな簡単な話ではありません」
顔をこれでもかというほど青白くした伊地知君と、未だに呆然とアホみたいに口を開けている私。
「だーからお前に頼んでるんでしょうが、伊地知」
悟はどこか呆れたようにため息を吐き出しながら、ポケットから取り出した飴玉を口へと放り込む。
この際アラサーにもなってポケットからいちごミルク味の飴玉を取り出すのはどうなんだ?なんてことは今はどうだって良い。
「…ちょっと待って悟、私何にも聞いてないんだけど」
「ん?まぁ言ってないしね」
あぁ、そういえばこの前恵君が悠二君に、五条先生そういうところあるぞって言ってたなぁ。
うん、本当そうなんだよね。昔っからこういうところあるんだよね…悟って…
そもそも伊地知君に呆れたようなため息を吐く時点で間違っている。なぜならこういう時は悟が100パーセント悪いからだ。