第22章 愛しい瞳
私をぎゅっと強く抱きしめるその甘えた仕草に、胸がふわふわと浮かぶような気分だ。
悟が本当に、私を好きだった気持ちを思い出してくれたのと分かるから。
悟の香りを胸いっぱいに吸い込む。それがとてもとても心地良くて、そして何よりも私を安心させた。
「…私も一緒にいたい」
それは私の心からの声だ。悟のことが心配なのは本心、そして悟に休んで欲しいのももちろん本心だ。だけどそれでも…やっぱり本当は彼の隣を離れたくなどなかった。
良い子のふりをして、聞き分けがいいみたいにあんな事を言ってみたけれど…だけどやっぱり心の奥底ではずっとずっと悟をこの腕に閉じ込めていたいのは私だって同じなんだ。
「なら最初っから素直になりなよ」
「…だって、心配なのは本当だもん」
「うん、分かってるよ。僕のこと心配してくれてありがとうね」
悟はどこか少しだけ意地悪そうに、だけど心から嬉しそうに笑みを作ると、目尻を下げ穏やかに微笑んだ。
「一緒にベット入っても良い?」
「うん、良いよ」