第22章 愛しい瞳
私の隣には医療用の簡易ベットがある。その枕元にはスマホの充電器やチョコレートの包み紙が置かれているのを見ると、多分悟がここで寝泊まりをしていたんだと思う。
付きっきりでいてくれたんだ。私のそばにずっと居てくれたんだ。
ありがとうと言う気持ちを込めて、上着を脱ぎベットへと入って来た悟をぎゅっと抱きしめる。
「二人だと思ったよりこのベッド狭いね」
「悟が大きいからだよ、脚なんて布団からはみ出てる」
「早くヒナと家のベッドで一緒に眠りたいな」
「そうだね、明日は家のベッドでゆっくり寝よう」
久しぶりに、二人の家のベッドで一緒に眠ろう。
疲れを落として、ゆっくりと眠って、そして朝目を覚ましてもあなたが隣にいてくれるのなら、私にとってそれは何よりも幸せな瞬間だ。
悟の背中に回していた腕にかすかに力を込める。数日寝込んでいたせいか筋力は落ちてそうだ。それでも彼を抱きしめる力くらいは残っていて良かった。