第22章 愛しい瞳
「だって僕がちゃんとしてさえいればこんな事になってなかった…」
「本当に違うってば。私が弱かったからだよ、結局昔からいつだって、私は悟を頼ってばかりいたんだなって思ったの。もっと強くならなくちゃいけなかった。悟の隣に立てるような存在になりたいって思っていたはずなのに、それが出来てなかったから…もっともっと頑張らないとって思えたんだよ」
「ヒナはずるいね…そうやっていつも直ぐに僕を許してしまうんだ」
少しだけ身体を離した悟の頬へと手をそっと添える。酷いクマだ。多分あまり眠れていなかったのだろう。元々睡眠が深いタイプではないのに…心配をかけてしまった。
「悟、キスして」
私はゆるりと笑みを作り瞳を揺らす悟へと顔を持ち上げれば、悟の私を抱きしめる身体がピクリと動いて、そしてゆっくりと瞳を閉じた。
優しく触れる唇は、少しだけ冷たくて…そして少しだけしょっぱい。あんなに泣いてたんだからそれも当然だ。
チュッと軽く触れるだけのキスを落とした悟は、そっと唇を離しそして不安気に私を見下ろした。