第22章 愛しい瞳
悟が私との思い出や私を好きだという感情を忘れてもちろん辛かった。
だけどそれは、間違いなく悟も同じだったはずだ。私を好きだと思い出した瞬間、一体どんな気持ちだったのか。考えただけで胸がぎゅっと痛む。いや、私なんかよりもずっとずっと…悟の方が辛かったに違いない。
しかもこんな怪我までして…数日目を覚まさなかったのだ。
傑と硝子が仕事へと戻り、それでも私からしがみついたまま離れようとしない悟の綺麗な白髪の髪をサラサラと撫でる。
「そんなに泣いたら目が腫れちゃうよ」
瞳を細め微笑みながら悟を見下ろせば、ピクリと反応した悟はゆっくりと身体を起こした。
「腫れたって良い、今は離れたくない」
悟と視線が絡み合うと、その瞳は心底不安そうにゆらゆらと揺れそして今度は私をすっぽりと覆い尽くすようにして抱きしめた。
「ごめんね、心配かけて」
そんな私の言葉に悟は無言のままブンブンと首を振り、背中に回していた腕をぎゅっと握りしめる。
本当に本当に不安にさせてしまったんだな。