第22章 愛しい瞳
そのかわり、私を見下ろす碧く綺麗な瞳からポロポロと数滴の涙がこぼれ落ちたのだ。
彼の涙を見たのは初めてかもしれない。
幼い頃から彼は涙を見せるような人物ではなかった。それは呪術界の要として生まれた彼に課せられた呪いのようなモノで、誰よりも強く、そして誰よりも揺るがない存在として幼い頃から涙を流すことなど許されてはいなかったからだ。
それを寂しく思っていた。私の前では弱さも情けなさも寂しさも見せて良いからと。
彼の全てが知りたくて、彼の何もかもを受け入れたくて、そして彼の全部を共有したかった。
あぁ、やっと見れたな…
そんな事を言えば悟は怒るだろうか。
だってこんな顔をさせているのは間違いなく私だ。私が悟に涙を流させてしまったのだ。
だけど、あなたの怒りも悲しみも喜びも、全てを受け止めてみせるから。だからどうか…どうか私のそばにいて。私を離さないで。私だけを見つめていて。