第22章 愛しい瞳
喉に張り付くような痛みの中声を出した。
小さくて、情けなくて、微かな声だ。
薄らと瞼を開ける。
「ヒナッ!!」
目の前に映り込んだのは、私の大好きな色。
そして私の大好きな人。
その顔は酷く歪み今にも泣き出してしまいそうで…何よりも辛そうに私の名前を叫ぶ。
何だかすごく久しぶりに名前を呼んでもらえたような気がする。
真っ直ぐに視線が絡み合い、そして他の何を写すんでもなく私だけを視界に入れてくれている。
それがどんなに嬉しいことか。
それがどんなに幸せで満たされる感情なのか。
身体が覚えているのだ。何を聞くんでもなく、確認などしなくても分かる。
強く感情を交えたその碧が、私を強く強く射通して離さないのだから。
「…悟、思い出してくれたんだね…」
泣きたくなった。だけど涙は溢れない。多分、喉も口内も何もかもカラカラで、水分が不足していたからかもしれない。