第22章 愛しい瞳
聞いたことがある。
甘くて優しい穏やかな声だ。
だけど少しだけいつも聞くモノとは違う気がする。
それはどこか不安気で切なくて、そして悲しそうな声。
誰の声だっけ。いつも何処で聞いているんだっけ。
分からない、分からないけど心地良い。
あぁ、もう少しだけこの声を聞いていたい。
もう少しだけこの声で私の名前を呼んで欲しい。
たまらなく心地が良いから。
たまらなく温かな気持ちになれるから。
何故だろう。何故こんなに安心した気持ちになるんだろう。
そうか、これは私の大好きな人の声だ。
私が大好きで大切で愛してやまない人の声だ。
だからこんなにも幸せな気持ちになれるんだ。