第21章 忘れモノ
僕が両手を合わせてトぶ瞬間、傑が移動型の呪霊に飛び乗ったのが視界に入る。
「硝子ッ」
次の瞬間にはヒナの眠る部屋へと駆け込み、目の前の光景に言葉を失った。
ベッド上には汗を滲ませ苦しそうな顔をしているヒナの姿。その瞳は開かれることなく苦しそうに歪んでいる。
僕は目隠しを勢い良く外すと、彼女のシャツをバッとたくし上げた。
「……っんだよこれ」
ヒナの腹部は赤黒く筋のようなモノが浮かび上がっており、それはギリギリと身体を締め付けている。
「恐らく一定の呪力が回復したことによって発動した呪いだ。特殊な呪具で切り付けられていたと言っただろう。その傷口から発動している。お前の六眼ですら発動するまでは見抜けなかったんだ、厄介な呪具を使いやがって」
硝子は舌打ちを落とすと、ヒナの赤黒く霞んだ腹部へと手を当てた。