第21章 忘れモノ
「そうか」そう呟いた傑の顔には不安が込められていて、手のひらを強く握りしめている。
「私は今日から数日地方へ任務だ。君の任務を代わってやらなくてすまない。伊地知に頼み込んだんだがどうしても私じゃないとダメだと言われてしまってね」
「いーや、僕もいつまでも彼女の側に引きこもっているわけにもいかないから。そろそろ生徒達の所にも顔を出さないと心配させちゃうしね」
「何があったらすぐに連絡してくれ。飛んで帰ってくる」
「あぁ、でもそうならないことを祈ってるよ」
「そうだな。だがヒナは私達の同期なだけあって昔から見かけによらずタフだからね。彼女の力を信じよう」
「分かってるよ、僕が信じないで誰が信じるんだって話しだしね」