第21章 忘れモノ
僕の叫びに似た声に悠二はハッとしたように僕の腕へとしがみ付くと、その場の景色が一変する。
突然現れた僕達に恵と野薔薇は驚く様子もなく、ただ眉間にシワを寄せると悠二を見てホッと安慮のため息を吐き出し、その後にヒナを見て酷く動揺したような顔付きになる。
「悠二、怪我は?」
「俺は大丈夫…それより椿先生がっ」
「そっか、君が無事で良かったよ。息はしてる、でも僕はこのまま高専にトぶ」
「伊地知!」少し遠くの車の方からかけてくる伊地知へと声をかければ、伊地知は顔面を青白くさせたあとすぐさま冷静を取り戻し「生徒達を頼むよ、悠二は見たところ怪我は無さそうだけど後で硝子の所に行くよう伝えて」と言った僕へと返事をし、動揺する生徒達を車へ乗るよう告げた。