第20章 執着
何でもないふりをしながらも、心臓はすでにバクバクで。だけどそれと同時に久しぶりに近くに感じる悟の温もりが心地よい。
本当はもっとくっつきたい。抱きしめあって眠りたい。
まぁそんなこと、今の段階で出来るわけもないのだが。それでも彼の隣にいられるならば、それだけで十分だと言い聞かせる。
「僕、最近変なんだ」
「変?」
「記憶を無くしてるせいかな、時々自分の心と身体がまるで自分が知っている僕じゃないみたいに感じる時がある」
悟は上を向いていた体制をゴロンと変えると、私の方へと振り向く。もちろん絡み合った視線は甘くとろけそうなソレではないが、どこか少し熱を含んでいる。
久しぶりに近くで見る悟の綺麗な碧色に、まるで吸い寄せられるようにして胸が鳴り、そして掴まれたみたいに胸が痛い。
「今だってすごく、ヒナを抱きしめたいって思ってる。ね、変でしょ?僕達は幼馴染にのに」
「なに…言って…」