第20章 執着
お風呂から上がり「寝室で先に待ってて、僕もシャワー浴びたら行くから」という悟の言葉に、枕を持って久しぶりの寝室へと足を踏み入れた。
緊張…する。めちゃくちゃ今更だけど…何かすごく緊張する。
とりあえずベッドへと潜り込み布団をかけてスマホを取り出す。緊張を少しでも紛らわせようと何となく今流行りの猫の可愛い動画なんかを見ながら平常心を保てるようにじっとしていると、しばらくしてガチャリと寝室が開いた。
「おまたせ〜」
その悟の声に、少しだけ肩がビクリと反応する。慌ててスマホを落としそうになるのを何とか堪えて握りしめた。
「何してたの?」
「猫の動画見てた」
「猫?猫好きだったっけ?犬派じゃなかった?」
「うん、犬派だけど…ちょっと諸事情がありまして」
「何それ、ウケるね」
ケラケラと笑った悟はかけていたサングラスを外しベッドサイドへと置くと、何の躊躇もなくそのまま布団の中へと潜り込んでくる。
「あー、今日も疲れた〜目の奥凝り固まって死にそう」
「悟の目が死んだらヤバイよ」