第20章 執着
硝子は来客を知らせるモニターの前で立ち止まると、大きな舌打ちを落とした。
『硝子、開けて。ここにいるのは分かってんだよ。僕の呪力感知なめんな』
「………」
『おーい聞こえてる?聞こえてるよね?早く開けた方が良いよ〜そうじゃないと通常の手段すっ飛ばしてそこまでトぶよ?そんなの嫌でしょ?嫌だよね〜だったら今すぐ開けろよ』
最後の方のその声は低く地を這うような声で、私は思わずギョッと目を見開いた。…悟?悟の声だよね…?何でここに…
しかも何かよくわらがないが悟はすごく怒っている。めちゃくちゃに怒っている。
『硝子〜本当に行くよ?良いの?もしくはここで馬鹿みたいに叫んでも僕は良いんだけど』
そんな彼の言葉に、硝子は再び聞いた事もないほど大きな舌打ちを落とすとピッという電子音ともにマンションエントランスのロックを解除したようだった。
「感情と記憶がなくても、執着心は健在か」