第20章 執着
明日あの家に帰ったら、急いで新しい家を探そう。伊地知君には申し訳ないけれど、無理を言って2日ほど休みを貰えば多分引っ越しもすぐに終わる。
あの段ボールだらけの荷物はほとんど使っていないし、処分して身軽になろう。そうしたらきっと少し心も晴れて余裕も出来る。
思い立ったらすぐに行動したないと、きっと離れ難くなる。悟と、そして二人で過ごしたあの家から…
時刻は深夜1時を回ろうとしていた。
そんな時、部屋にはピンポーンという軽快な音が響き渡る。あれだ、一般的に来客を知らせるインターフォンの音だ。
硝子はその音にピクリと身体を反応させるものの、それにはすっかり無視でまるで鳴らなかったみたいに目の前のテレビを見続けている。
「硝子、インターフォン鳴ったよ?」
「あぁ、出る必要ない」
こんな時間にインターフォンが鳴るなんて可笑しい。普通はこんな夜更けに女性の家に訪問する人間なんて居ない。
え、もしかして…
「…ストーカー?硝子ストーカーされてるの!?」