第19章 大切な記憶
「良い年して喧嘩とは、随分と暇なようだな。悟に傑」
「はははは〜学長冗談キツイですってー、ほーら僕達こんなに仲良し!な!傑!」
「そうですよ夜蛾学長、悟と私は昔から大の仲良しじゃないですか。ははっ」
わざとらしく笑い肩を組んで見せた二人に、現れた夜蛾学長は躊躇うことなく大きく拳を振り下ろしゴツンゴツンと拳骨をくらわせた。
見ているだけで痛そうだ…そして悟が一瞬にして無限を解くあたり夜蛾学長を信頼しているのが分かる。
そんな二人の間に挟まれていた私を、学長は一度見下ろし小さく溜息を吐いた後。
悟と傑の二人には見事二発目の拳骨が振り下ろされた。
多分私が泣いているのを見てそうしたんだと思う。本当に夜蛾学長は頼もしくて信頼のおける先生だ。
「無闇に特級レベルの呪力を校内で出すな。慣れない人間ならば下手したら気絶してるぞ」
どうやら夜蛾学長は悟と傑のあの威圧的な呪力を感じて駆けつけたらしい。さすがは二人を止められる数少ない人物の一人だ。