第19章 大切な記憶
だけど本当は悟もそうだったのかもしれない。
ずっと20年近く苦しくて辛い想いを何度もしてきたのかもしれない。
それでも私を諦めないでくれていたんだ。それでも私を好きな事を辞めないでくれていたんだ。
そう思うと、やっぱり私は情け無くて…そして酷い女だとそう思った。
もしもこのままずっと悟が私への気持ちを思い出さなかったら…
ずっと幼馴染として生きていくのだろうか。
それとも…もし思い出す前に、悟に他に好きな人が出来てしまったら。その人と付き合うことになったら…
私はそれを黙って受け入れなくてはならないのだろうか。
そんな最悪なことが頭をよぎる。
悟が私を好きじゃなくても頑張るとそう決心したのに。もう一度好きになってもらえるよう努力しようと心に決めたのに。
溢れ出る涙はポタポタと床にシミを作り、そして喉からはひっくひっくとしゃくりあげるような声が溢れ出た。