第19章 大切な記憶
片想いがこんなぬも辛いだなんて思ってもいなかった。
恋愛初心者にも程がある。何をどうしたら良いのかも分からないし、好かれるためにどんな態度を取ればいいのかも…悟に対して自分がどう接したら良いのかも分からなくなりそうだ。
一緒に住めるだけ良かったと思っていたけれど…それも全部私の勘違いで…悟はそんな事少しも思っていなかったのだ。
朝早起きをして悟と一緒に家を出たり、遅くまで彼の帰りを待って「おかえり!」って言ったり。
慣れない料理を頑張って朝ごはんを作ってみたり…
それも全部空回りに過ぎなかったのだ。
少しでも一緒に過ごせる時間が幸せだと思った。少しで良いから悟の側にいたくて。少しで良いから同じ時間を共有したかった。
これが好きと言う事で、そしてこれが片想いの辛さなのだと初めて気が付く。
悟は凄いなぁ。こんなにも心が乱される事を20年近くしていたのだから。その年月だけ私を想い好いてくれていたのだから。
私は、たったあれだけの事で今にも心が折れそうなのに…