第5章 今夜から
良かった、3人とも仲良くやっていけそうだね。そんな事を考えながらニコニコと生徒達を眺めていると。
「ほらヒナの好きなサーモン頼んどいたよ」
「あ!ありがとう悟〜」
私へサーモンの乗ったお皿を手渡してくれる悟にお礼を言いながらそれを受け取ると、目の前に座っていた悠二君が私達をジッと見つめていることに気が付く。
「悠二君どうかした?」
「いや、先生達ってめっちゃ仲良いんだなぁと思って!五条先生が椿先生の好物知ってるのもそうだけど、五条先生って人のこととか興味なさそうなタイプだと思ってたから何か以外で!あとそれに二人とも下の名前で呼び合ってるし!」
「あ、それ私も思ってたわ。五条先生って椿先生にだけやたら優しいわよね」
その悠二君の問いかけと、野薔薇ちゃんの言葉に私達二人は一瞬キョトンとしていると、そんな私達の代わりに恵君が口を開いた。
「この2人幼なじみだからな」
「え?そうなん!?だからかぁ!俺幼なじみとかいたことないから何かそう言うの憧れるわぁ」
「へぇー、幼なじみ2人して学校の先生してるなんて本当仲良しなのね」
納得したような生徒達の反応に、キョトンとしていた私も「そうなんだぁ、幼なじみなの」と答えていると、隣にいた悟が突然私の肩をグイッと抱き寄せた。
「??」
突然どうしたんだろうと思い悟を見上げるようにして首をかしげれば、目隠し越しではあるがパッチリと視線が絡まり合う私達。悟はそのままゆるりと口角を上げニヤリと微笑むと。
「ただの幼なじみじゃないよ、僕達婚約者なんだ」