第19章 大切な記憶
「悟!お疲れ様!」
任務の後、高専内にいるであろう悟を探していると前方に見えた背が高く白髪の髪をした後ろ姿へと声をかける。
「お疲れサマンサ〜ヒナはもう任務終わったの?」
こちらを振り返った悟は私を見下ろし小さく笑みを作る。いつも見せてくれていた笑顔と違うこの笑みにも、少しだけ慣れてきた。
「うん、さっきね。一級数件だったからすぐに終わったよ」
「さっすが僕の同期〜優秀で鼻が高いよ」
二人で高専内の廊下を歩きながら夕焼けに照らされた空間をのんびりと歩く。よかった、今日も悟に会えた。
二人で一緒にいるところを他者に見られると、悟の私への態度が今までとは違いすぎて怪しまれる可能性がある。そのため会う時はなるべく悟が一人でいるところを見つけて声をかけるようにしている。
「そういえば、そろそろ家は見つかりそう?」
「……え」
その言葉に私はまるで時が止まってしまったような感覚になる。
「まぁ忙しいからそんな探しに行く暇もないか、本当呪術師ってブラックだよね」
なかなか答えようとしない私に悟は違う解釈をしたのか、そんな言葉を落とす。