第19章 大切な記憶
一人寂しく毛布に包まりながら思うのは、やはり悟のことだった。
ここに来て別々で眠るのは初めてだ。
出張の時はもちろん一人で寝てた訳だが、一緒の家にいるのに…こうして別々で眠るのは初めてだった。
寂しい、辛い。早く思い出してほしい…
悟、お願い。いつもの優しい甘い笑顔で私の名前を呼んで…
たった1日でこんな気持ちになるのに、今後悟がしばらく私を好きだと言う気持ちを思い出さなかった場合私はどうなってしまうのだろうか。
どうか明日朝起きたら悟の記憶が戻っていますように。私を好きな彼に戻っていますように。そう願いながら瞳を閉じる事しができない。
「…悟、早く私を好きだってまた言ってよ…」
布団を握りしめ顔まで毛布をかぶる。多分自分が感じるよりもずっとずっと不安だったのだろう。やっと眠りにつけたのは朝方だったと思う。
胸が苦しくて、頭が痛くて、身体がだるかった。
だって次の日目を覚ましても、悟は私を好きだと言う事は無かったから。