第19章 大切な記憶
その後は本当に二人で家へと帰り、リビングに入るや否や二人で住んでいる確かなその痕跡に「うわ〜僕達本当に一緒に住んでるんだね」と悟は感心したように呟いていた。
「なんかペア物多くない?オソロいとか」と言われた時にはどうしようかと思ったが、適当な事を言って笑いながら誤魔化しておいた。
悟はそれに納得していたかは分からないが、特に気にするような素振りもなくてホッとする。
悟は自分が記憶の一部を失っているというのに、それはそれは呑気な物で…
私がお風呂から出ると、いつのまにかネットで頼んでいたらしいケーキを冷蔵庫から取り出しローテーブルに広げながらくつろいで映画を観ていた。
「一緒に観る?」
「…うん」
お風呂から上がって来た私に気が付いたらしい悟がこちらへと振り返ると、ホール食いしていたケーキをこちらへと差し出す。
「美味しいよ、ヒナチョコケーキ好きでしょ」
「ありがと」