第19章 大切な記憶
忙しさのあまり自分が家の更新をし忘れて焦っていたら、悟が心配してくれて一緒に住む事になったのだと。
正直こんなしょうもない理由を頭の良い悟が信じてくれるとは思えないが、どう考えても私達が一緒に住む理由なんか見たからなくて…仕方なくこんなありふれた理由を話す。
だけど悟はそんな私の話を信じてくれたのか、もしくは幼馴染として仲良しだった自分達ならありえると判断したのか「そうなんだ〜僕が誰かと一緒に住むとかあり得ないけど、まぁヒナが相手なら納得〜本当僕達って昔から仲良しだよね」とケラケラ笑っている。
あれ?どうやら納得してくれたらしい…
もしこんな理由で信じてくれなかった場合、何て言おうか考えに考え抜いたけれど、結局他の理由は思い付かなくてこれ以上考えていなかったから正直ありがたい。
「ふぅ」と小さく息を吐き出しながら悟に視線を向ければ、どうやら彼も私を見下ろしていたらしくニコリと微笑んだ。
それにしてもどうやら悟の中での私達は、恋心は無くなったとしてもかなり仲良しな幼馴染という間柄ではあるらしい。
それだけが、せめてもの救いだ。