第18章 呪術界の中心
眠るヒナの髪をサラサラと撫でれば、ピクリと反応した彼女が薄らと目を開けた。
「…ん、さと…る」
いつもよらりも少しだけ鼻にかかったようなおっとりとした口調に、思わず笑が溢れる。
トロンとした視線は甘く可愛らしくて、思わず食べてしまいたくなるほど愛らしい果実のような唇にキスを落とした。
「ごめんね、起こしちゃったね」
「…眠れないの?」
「ううん、ヒナの寝顔を見てたんだ。可愛いなと思って」
「何…それぇ、そんなことしてないで…悟も早く寝ないと」
目をシパシパとしながら僕の胸元へと顔をすり寄せる彼女があまりに可愛いくて、心臓が潰れそうなほど愛しさが込み上げてくる。
「それに…寝顔が可愛いのは、さとるのほう…だよ」
少しばかり寝ぼけているのか、ムニャムニャと口元を動かしながら瞳を閉じた彼女はそんな事を口走ると、僕が大きく目を見開いているのにも気が付かず、気が付けばあっという間に再び夢の中へと戻っていった。