第4章 特級呪物
「でも…」と呟き心配そうな表情をしたピンク髪の少年をよそに、悟はどこか楽しそうにニヤリと笑みを見せると。
「大丈夫、僕最強だから」
その言葉を聞いて何故だかすんなりと安心した気持ちになるのは、今まで幾度となく彼のその最強な背を見てきたからだ。
悟は最強だ。呪術界において彼にかなう術師はいないだろう。それほどまでに五条悟という男は圧倒的強さを持っていた。
「恵、これ持ってて」そう言ってポイッとこちらへと飛んでくる紙袋。それを恵君は見事キャッチすると不思議そうにそれを見つめた。
「これは?」
「喜久福」
え?悟ってば、生徒がこんなボロボロになってるっていうのに呑気にお土産買ってたの??
同じ顔をして唖然とする私と恵君に悟は「土産じゃない、僕が帰りの新幹線で食べるんだ。あ、ヒナにもちゃーんとあげるから心配しないでね」なんて呑気な事をいってくる。
いや、別にそんな心配はしていない。呆れながら思わず苦笑いをしていると「後ろッ」という恵君の大きな声とともにピンク髪の少年が悟の後ろを飛び上がっているのが見えた。
少年の身体には全身に模様のようなモノがある。宿儺の影響か。
「生徒と婚約者の前なんでね、カッコつけさせてもらうよ」
そんな悟の言葉が聞こえた瞬間、爆風とともにもくもくと大量の砂埃が立ち込める。ゲホゲホと咳き込みながらも目を細め前を見れば、肉眼では到底追うことの出来ないようなスピードで悟と宿儺が戦闘しているのが目に入った。