第4章 特級呪物
その悟の問いかけに答えたのは、私でも恵君でもなくて。
「あのー、ごめん。俺それ食べちゃった」
何故か上半身裸のピンク髪の男の子がそう答えた。
その瞬間、その場の空気が一瞬にして凍りつく。いや、凍りつくというよりはまるで何を言われたのか理解が追いつかずフリーズしてしまったという方が正しいかもしれない。
「マジ?」
唖然と目を見開いた私とは違い、一瞬動きを止めたものの悟はそんな簡単な言葉を返すと「マジ」とやはり冷静に答えた伏黒君にさらに私は目を大きく見開いた。
え…?食べた…?
特級呪物を…??
それも…
「両面宿儺の指を…?」
思わず漏れ出た私の小さな声は夜の暗闇の中に消えていく。
悟は両面宿儺の指を食べたと言う目の前少年へと近づくと、長身なその背をかがめぐいっと顔を寄せマジマジと彼を見つめた。
「んー?」
「……………」
「ははっ本当だ、混じってるよ。ウケる」
いやいや全然ウケないんだけど!両面宿儺の指を食べたというのにウケるだなんてそんな簡単な言葉で片付けてしまえる私の幼なじみは、さすが特級呪術師だ。発言まで特級レベルらしい。
「体に異常は?」
「特に…」
「宿儺と変われるかい?」
「スクナ?」
「君が喰った呪いだよ」
「あぁ、うん。多分出来るけど」
ちょっと待って悟、一体何するつもり?そう言おうと二人へ近づこうとしたところで、どうやら珍しく悟はもうやる気満々らしく…
「じゃあ10秒だ、10秒したら戻っておいで」
「でも…」