第17章 二人の出張
その言葉に、私は大きく目を見開いた。
え…だって…私達は婚約者で…だから…
「僕達はもう婚約してるけど、それでも僕の口からちゃんと言いたかったんだ。想いが通じ合ったら言おうってずっと決めてた」
傑や硝子の前でも当然のように結婚の話をしていたから、もう何のことなく結婚するとばかり思っていた。両思いになったのだから当然だと。
だからまさか、こうして改めてプロポーズをしてくれるだなんて思ってもいなくて…
私は驚きを隠せないまま目の前の悟を見つめ、そして心臓が震えるほどに嬉しさが溢れていることに気が付いた。
嬉しい。泣きそうだ。心臓が痛い。嬉しくてドキドキして、そして幸せだ。
「うん、こんな私でよければ…悟のお嫁さんにして下さい!!」
少しだけ涙ぐんだようなそんな声が浜辺に響き渡る。
悟の背中を強く抱きしめ、そして彼の顔を見上げながら溢れ出しそうな涙を堪えて微笑めば「ありがとう、愛してるよ。絶対絶対幸せにする」という優しい声とともに、私を見つめそれはそれは嬉しそうに微笑む悟が瞳に映った。そしてそれと同時に、温かく柔らかな温もりが唇に触れた。
うん、私も愛してるよ。
絶対に、悟を幸せにするから。