第17章 二人の出張
仲間の死、友人の死、家族の死、大切な人の死、そして…自分の死。
次は誰を失ってしまうのか。はたまた自分が死に周りの人々を傷付けてしまうのか。
そんな事を考えたらキリが無いけれど。
いつだって私達は、誰かしらの死と共に生きてきた。それこそ生まれた時からだ。呪術界の中心のような環境で育ったきたからなおさらに。
私の親しく近しい人達は、幸いなことに呪術界でも強く力の持っている人達が多い。悟なんてその中でもそれは一番の力の持ち主だ。だけどだからといって…死なないわけではない。絶対的なわけでも、絶対大丈夫なわけでもない。
今日が平気でも明日は分からない。明日は平気でも一年後は分からない。そうやってずっとずっと出口のない不安の中を私達は駆け抜けていく。
呪霊なんていなければいいのに、呪いなんてなくなればいいのに、負の感情なんて生まれなければ良いのに。無駄だと分かっていても、そんな事を何度も思った。
呪いを生むのは非術師だ。でもだからって非術師が悪いとは限らない。私達は呪いを生み出す事はないけど、負の感情を持っていないわけではないから。きっと私だって呪力を持っていなかったら、それこそ呪いを生み出す側だったかもしれないのだ。