第17章 二人の出張
ちゅっと軽いリップ音を立て離れて行った悟の唇に、少しばかり寂しさを覚えながら酸素の薄れた頭のままボーッと彼を見上げると「どうしたの、物足りなかった?」と意地悪気に言われ、再び熱く甘くこれでもかというほど優しく唇を奪われた。
少しだけしょっぱい味がしたのは、多分海で交わしたキスだからだ。
「とろんとした目しちゃって、襲いたくなるでしょうが」
「っ!!」
思わず濡れた悟の唇を見ていた視線をギョッと見開き、慌てて悟から顔を離す。
「そこまで警戒しなくても大丈夫だよ、さすがの僕でもこんな場所で節操無しに襲ったりしないから」
「…本当?」
「それに心配しなくても、甘い時間はあとでたっぷりと過ごすからさ。もちろんベッドの上でね」
「…やっぱり悟ってやらしぃ」
「男ってそういう生き物なんだよ。特に好きな女の前ではね」
口角を上げ楽しそうに瞳を細める悟が色っぽくて、私の心臓はドキドキと音が鳴りっぱなしだ。今までずっと普通の幼なじみとして過ごしてきた時は、こんなにも彼にドキドキする事なんてもちろんなかった。
悟の顔がカッコイイだとか、そんなことは当然理解していたが、胸が痛くなるほどのトキメキなんて感じたことは無かったのだ。
だけど悟を好きになって全てが変わった。