第17章 二人の出張
こんなの見惚れるなという方が無理で、私なんかよりもよっぽと色っぽいその雰囲気に思わずあの夜の事を思い出してしまい、そんな雑念を祓うようにして頭をブンブンと横に振った。
「どうしたの?」
「何でもない!!できたよ、早く海行こう!」
素早く立ち上がり誤魔化すようにして悟の手を引けば、浮き輪を持って二人で海へと向かう。
キラキラと輝くビーチは、カップルや家族連れで賑わっている。ものすごく混んでいるというわけではないが、マリンスポーツも近くで出来るのか楽しそうな声がビーチに響き渡っていた。
浮き輪を被り海へと入れば、悟はそんな私の浮き輪へと捕まり離れないように引き寄せる。
波がほとんどなく、晴れ渡る空の下ぷかぷかと浮き輪に揺られて凄く気持ちが良い。
「海なんて何年振りだろう」
「僕去年の夏に任務で行ったよ。離島の土地神が特級呪霊になった件で」
「そういうのじゃなくてさぁ、もっと爽やかで楽しい海の話ししてよ」
「高専時代ですら夏休みなんてなかったからね、爽やかな夏の思い出なんて僕達にはないでしょ」
「確かに、言われてみればそうかも。呪術師の青春は任務と特訓だもんねー」