第17章 二人の出張
「あははっ、ヒナって本当天然だよね。可愛い」
…天然なのだろう…か。誰だって出張先でこんなホテルに連れてこられたら唖然としてしまうと思う。つまり私の反応は至って正常だ。
「よく昨日の今日で予約取れたね、いきなりだったのに」
「んーそうね。本当はスイート空いてなかったんだけど、まぁ金積めばどうとでもなるってことだよ。結構良い部屋みたいだよ、人気なんだってさ」
…金を積む?…空いていなかったはずのスイートルームが予約できた…?何だか聞いては行けないような単語を聞いてしまった気がするが…「ねぇねぇ、そんなことよりさー」と話を始めた悟へ向き直り、今までの話は聞かなかった事にしようとそう思った。
さすがの悟も高級ホテルの中へ目隠しで入ることはしないのか、私の手を繋いでいるのとは反対の手で黒の目隠しを外しサングラスへと手早く変える。
フロントへと迎えば、夜中にもか変わらずスムーズな対応で荷物を受け取り最上階の部屋へと案内された。
「何か一棟ずつ分かれてるプール付きの部屋とかもあったんだけど、いちいち移動しないといけないらしくて、今回は時間が勿体無いから辞めたんだ」
「部屋が一棟ずつ分かれてるの?凄いね、よく海外とかで見るあれかな?皆んな新婚旅行とかで泊まるやつ」
「うん、多分それ。本当はそっちが良かったんだけどねー、二人きりでゆっくり出来るし。でも今回は無理だからまたいつかプライベートで沖縄に来た時にはそっちの部屋泊まってみようね」