第17章 二人の出張
「……………えっと、ここは何処?」
「ん?今日泊まるホテルだよ」
目の前には海沿いに佇む明らかに高級だと分かる金ピカなホテル。どっからどう見ても、いつも任務で泊まるような駅前のビジネスホテルじゃない。
いや、だって大きさが異常だし。何よりもものすっごく金ピカだし。目の前はホテルのプライベートはビーチというやつだろうか。
時刻はもう日付を跨ぐギリギリの時間で暗く良く見えない時間なはずなのにもかかわらず、目の前の大きなホテルは眠る事を知らないのなキラキラと輝いていた。
…伊地知君がこんな煌びやかなホテルを予約するわけがない。というか、任務に行ってこんなところに泊まれるんだとしたら、元々そこそこ高い呪術師の給料ではあるが、それ以前に呪術界の金銭感覚を疑う。
「…伊地知君がここを予約した訳じゃないよね?」
目の前の輝くホテルを見上げながらポツリと呟けば、やはり隣の悟は楽しそうな笑みを見せながら私の手を引いて歩き始める。
「まさか、呪術界はそんな太っ腹じゃないよ。もちろん僕が予約したの」
「だよね、いつから出張でこんな高級ホテル宿泊させてくれるようになったのかと思ったよ」