第4章 特級呪物
仙台駅に着いた頃にはすっかり辺りは暗くなていて、急いでタクシーに乗り込むと行き先を告げ恵君へと電話をかける…が、どうやら出る気配がない。
気が付かなかったのかとそんな事を思いながらタクシーを降りた瞬間、感じた事もないほどの何者かの気配にぶるりと全身の毛が逆立つような感覚になりながら一気にその場を走り出した。
やばい、これはやばい。生徒一人に任せるような案件ではなかったか。いや…もしかしたら私ですらも…とにかく今は早く恵君の所に行かなくては。彼はここにいる、間違いなくこの学校にいる。
そう思いながらも余裕なく走り出した私の額からはじんわりと汗が滲み、軽々と裏門の柵を飛び越えるとさっきよりもさらに加速して走った。
校内に入れば辺りは呪霊で溢れかえっている。
何…この呪霊の数。異常だ、異常に数が多すぎる。いくら呪いの溜まりやすい学校だからといってここまでうじのように湧き出てるのはおかしい。
どうやら特級呪物の封印が相当緩んでいたか、もしくは機能されないような状況になってしまったかのどちらかだ。
とにかく急がなければ。
私は溢れ出る呪霊を全速力で走りながら祓い倒すと、恵君の呪力の感じる屋上へと向かった。