第4章 特級呪物
「えぇ!!嘘」
思わず彼の言葉にそんな腑抜けだ声を出すと「本当です」とあっさりとした冷静な声が落ちて来る。
『ちなみに五条先生には回収するまで帰って来るなって言われました。そもそも百葉箱なんかに特級呪物を保管してる時点でバカすぎると思います』
うん、それは間違いない。百葉箱に入れておくなんてその辺に特級呪物を転がして置いているのとなんら変わりない状態だ。
普通の呪物ならまだしも…それも特級だ。いや、普通のもダメなんだけど。
でもさすがに特級呪物が行方不明だなんてなると、このままほっとくわけにもいかないわけで…私は少し考えた後。
「じゃあ私も今から向かうから、現地で落ち合おう」
幸いにもここは仙台からそう遠くない。急いでいけば数時間後には行けるだろう。
『分かりました、俺はこのまま残穢を辿ります』
「うん、よろしく。なるべく早く行くから」
スマホを耳から離し通話を切るとそれをポケットへとしまった。
「はぁ、今夜は寝れないかなぁ」
そんな事を呟きながら塀の上に立っていた私はその場から飛び降りると、補助監督の待つ車へと向かった。