第16章 本当のところ
「入籍はいつするんだ?もう待つ必要は無くなったんだろ。それならすぐにでもするのか?」
硝子の「待つ必要が無くなった」と言う言葉に首を軽く傾げれば、隣にいた悟が「ヒナが僕を好きになってくれるまで、入籍を先延ばしに出来るギリギリまで待つつもりだったんだ。やっぱり結婚するなら両想いになってからが良かったからね。僕のことを好きになってもらえるように僕めちゃくちゃ必死だったよ」と思ってもなかった予想外の言葉に、やっぱり悟は何よりも私のことを優先にして考えてくれているんだと、また愛しくなった。
あぁ、本当に悟を好きになって良かった。
悟が私を好きでいてくれて良かったと心の底から思う。
「入籍は本当なら今すぐにでもしたいところなんだけどね。なんせこう見えて僕達二人とも良いとこの家系の出だから。しきたりとか何だとかうるさいんだよねぇ」
「意外だね、悟がそんな事を気にするなんて。てっきりやりたい様にやるものだと思っていたよ」
「まぁ本来ならそうしたいところだけど、僕だけの問題じゃないからね。結婚は女性にとって何よりも大事な事だろうしヒナの方には迷惑をかけたくないんだよ。五条の本家も本家であぁしろこうしろうるせーのなんのって。後々新婚堪能してるところに文句言われるくらいなら、とりあえず言うこと聞いとくかって感じなわけ」